山形県鶴岡市立加茂水族館は、水族館の「おまけ」だったクラゲを主役に据えるという逆転の発想で倒産寸前から度重なる経営危機を乗り越えて大幅な業績回復を成し遂げました。
廃館の危機に面していた時、現在のクラゲ水族館館長である奥泉和也さんが偶然に、「サカサクラゲ」を見つけ飼育、展示する大好評を得て大人気の水族館になったのです。
サカサクラゲは、別名「マングローブジェリーフィッシュ」とも呼ばれるように、熱帯性のクラゲで海水が温かくて、水流が少なく、浅い場所を好み日本では九州以南で見ることができます。
目次
「夕日を釣り上げた男~加茂水族館 クラゲ館長の決断~」
「加茂水族館」これまでのあゆみ
- 1930年
観光の目玉として地元有志の水族館組合によって「山形県水族館」が設立されました。 - 1944年
山形県へ譲渡され、水族館を廃止して、戦時下における青少年男子の修練施設「海洋道場」となりました。 - 1956年
「鶴岡市立加茂水族館」として再開館。 - 1967年
第3セクターの株式会社庄内観光公社に売却され、「庄内浜加茂水族館」に改称されました。 - 1971年
庄内観光公社が「船橋ヘルスセンター」を真似て造ったヘルスセンター「満光園」(現在はホテル満光園)の経営が、開館4年で行き詰まったあおりで、水族館が閉鎖され、従業員が全員解雇となりました - 1972年
負債1億4000万円を引き受けた株式会社佐藤商事が経営を引き継ぐ。 - 1993年
人気のラッコの飼育・展示を開始しますが、入館者数の減少を止めることが出来ず、さらに負債を増やす結果となりました。 - 1997年
サンゴの水槽で偶然クラゲが発生し、これを機にクラゲ展示が始まりましたが、入館者数が過去最低を記録しました。 - 2000年
クラゲ展示室を設置し、クラゲ展示種類数(12種)日本一となりました。 - 2002年
この水族館を市が買い戻し、「財団法人鶴岡市開発公社」が管理業務を行うことになりました。「鶴岡市立加茂水族館」に改称。 - 2005年
クラゲ展示室リニューアルし、アメリカ合衆国・モントレー水族館(17種)を抜き、クラゲ展示種類数(21種)世界一となった。 - 2012年
クラゲの展示種類数でギネス認定されました。刺す種類のみをクラゲとするルールで30種であった。 - 2015年
初の国際クラゲ会議が加茂水族館で開催されました。 - 2016年
天皇(明仁)・皇后(美智子)両陛下(当時)が訪問されました。 - 2017年
新館開業からの入館者数が200万人を超えました。
1998年度【最低】 | 94,104人 |
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2014年度【最高】 | 716,354人 |
加茂水族館入館者、2019年2月では過去最高 鶴岡、1万5641人
鶴岡市は1日、先月の市立加茂水族館(奥泉和也館長)入館者数が1万5641人となり、2月では過去最高を記録したと発表した。天皇陛下即位30周年を記念した入館無料キャンペーンなどが要因とみられる。同館によると、12月から3月の春休みまでの時期は、夏のピーク時に比べ客数が10分の1に減少するなど、集客力向上が課題だった。昨年2月は、14年のリニューアルオープン以降、月別の入館者数が初めて1万人を割っていた。
今季は1月15日から3月15日まで小中学生の入館無料など各種キャンペーンを展開。すべての人を入館無料とした先月24日の即位30周年記念キャンペーンでは、2月の日別で過去最高の2842人が訪れた。
奥泉館長は「これからも入館者が魅力を感じる企画を打ち出し、冬の水族館をPRしたい」と話した。
引用元: 山形新聞社
クラゲ展示を行っている各地の水族館
マクセル アクアパーク品川(東京都)
ゆらゆら漂うクラゲと、時間や季節ごとに変わる音と光で演出された幅9m、奥行35mという大空間で、神秘的な世界を体感できます。
しながわ水族館(東京都)
水槽の形状や水量もさまざまで、ゆりかご水槽、円形水槽、円柱水槽、クラゲフォトスタジオ水槽の4つの水槽を常設。飼育されているクラゲは、ミズクラゲ、サカサクラゲなどの4種類です。
すみだ水族館(東京都)
大小さまざまな水槽の中に多数のクラゲが漂う空間は、お客さまを「日常」から「非日常」の世界へ誘います。
新江ノ島水族館(神奈川県)
クラゲが醸し出す癒し豊かな空間で、国内外の多種多様なクラゲを鑑賞できる、新江ノ島水族館のおすすめ展示です。世界有数のクラゲ展示をお楽しみいただけます。
のとじま水族館(石川県)
神秘的なクラゲを展示している空間です。
クラゲのフワリフワリと緩やかに遊泳する姿で癒しのひとときをすごすことができます。